特集

CraftMeet Project
CraftMeet Projectとは?

CraftMeet プロジェクトは、日本の法律で定められた基準によって指定された伝統的工芸品の優れた技術・技巧や産地のストーリーを海外目線で再評価し海外需要を創出していく「伝統的工芸品の産地ブランド化事業」です(平成28年度の補助事業として経済産業省から採択を受けています)。

平成28年度のCraftMeetプロジェクトは全国で222品目しか指定されていない伝統的工芸品の事業者の中から「海外市場へ積極的である」ことを前提に、「コンテンツ力」「需要力」「販路開拓力」「地域への波及力」の基準によって事業者・産地組合・景勝地等を評価し選出しました。

そして、日本各地に存在するこれらの事業者・産地・景勝地を分かりやすく理解できるよう、海外有識者とのコラボレーションや海外販路開拓の視点から「素材」「カテゴリー」「地域」の視点で10モデルテーマとして組成しています。
日本の漆(うるし)

日本の伝統文化に根差し、デザイン性の高い日本の漆(うるし)



漆器とは、木材を加工して作った木の素地(木地)に、漆の木から採取される樹液を塗って仕上げた工芸品を指します。1 1 世紀初期に生まれ、16世紀後半には日本各地で技法が確立し産業として発展しました。現 在は「伝 統的工芸品」として国が指定しており、日本の23の地域で生産されています。


漆は艶やかで美しい見た目だけでなく、堅牢で一度乾いたら剥げにくく、防水・防腐性・抗菌性に優れ、熱や電気の絶縁性にも長けています。 また 、経年劣化した漆器は 、塗り直すことで半永久的に使い続けることができ、エコ的視点からも一目置かれています。 


漆器づくりは、木地に漆を何度も塗り重ねるという非常に手間がかかる作業です。目的・用途によって漆の表面に金銀や貝、色漆などを用いて華やかな加飾を施すことは共通していますが、産地ごとにその工程・素材に違いがあります。


漆器には、手数をかけることに価値を見いだす日本らしい姿勢がにじみ出ており 、現在は 、食器をはじめ 、インテリア 、アクセサリーなど 、暮らしを彩る幅広い製品に漆の技術が使われています 。

日本の手漉き和紙
日本人の生活を支え続ける紙素材


日本人は古くから和紙を筆記用の紙としてだけではなく、部屋を仕切る「襖」や外から太陽の光を取り込む「障子」、ろうそくの炎を風から守り部屋を明るくす る「行あんどん灯」、「傘」など、インテリアや生活用具としても活用してきました。

もとは5世紀頃に中国から製紙技術が伝わり、日本の風土や文化に合わせて発展 し ま し た 。 コ ウ ゾ 、ミ ツ マ タ 、ガ ン ピ と い っ た 多 年 生 植 物 か ら 取 り 出 し た 繊 維と植物の粘液を水のなかでゆすりながら撹拌し、水切り用の道具の上に薄くのばして紙の層をつくる「流し漉き」という手法は日本独自の技術です。

きれいな水を大量に必要とすることから、主な産地の多くは水量の豊富な川の流域にあります。伝統的な製法の和紙は丈夫で保存性が高いため、日本では 1000年以上前の文書も良い状態で残っています。

また、日本の紙幣が薄くてやぶれにくいのも和紙の技術でつくられているからです。2014年に手漉き和紙技術はユネスコ無形文化遺産に登録されています。
伝統を受け継ぐ「 織物・染物」
時代や社会とともに変容を遂げてきた素材


日本の染織は中国の影響を大きく受けており、紀元前 3世紀頃に伝えられた絹を筆頭に、数々の技法がもたらされました。平安時代( 794 〜 1185年)の公家文化、安土桃山時代(1573 〜 1603年)の武家文化、江戸時代(1603 〜 1867年頃 )の町人文化など時代ごとの美意識を反映して発展を遂げています。

多くが高貴な人のために作られた絹製品で、14世紀から明治 2(1869)年まで天皇が住んだ京都には「西陣織」「京友禅」「京繍」など多彩な伝統的工芸品が残ります。ほかの地域でも支配階級向けや献上用として個性豊かな染織が作られました。

一方「羽越しな布」「阿波正藍しじら織」など庶民に愛用された品の、素朴な味わいが見直されています。

現在は衣習慣の変化により着物の日常使いはごくわずかです。需要の減少や技術継承など課題は多いものの、長い時間と手間をかけ、手作業ながら驚くほどの細密さで作られた染織や刺繍は非常に美しく、ものづくりの確かな技術がうかがえます。
産地ごとの多種多様な作風を愛でる「陶磁器」
伝統を継承しながら進化を続ける多種多様な工芸品

普段使いの器から美術的価値の高い茶碗や花器、また鑑賞の愉しみを与えてくれる壺やオブジェまで、日本人の暮らしに溶け込んでいる陶磁器。「陶磁器」とは粘土を主原料とし約700〜1,300度で焼く陶器と、砕いた陶石が原料で約1,200 〜 1,300 度で焼成する磁器から成ります。

しかし両者は同じ “ やきもの ” でありながら原料の違いだけでなく、手ざわりや器肌の色味、趣においても一線を画する存在です。さらに技法の違いや産地の気候風土といった地理的条件、窯ごとの特性、作家の個性や表現の幅に触れることで、多様性に満ちた日本ならではの陶磁器の奥深い魅力が見えてくるでしょう。そのバリエーションは、全国に222品目が存在する伝統的工芸品の中で陶磁器は 31 品目と、織物に次ぐ数の多さからも明らかです。
和のこころと温もりを感じる「生活雑貨」
生活を豊かにしてくれる「用の美」


持っているだけで 毎日の生活がほんの少し豊かになって、自然と心地よくなれるもの。また使い込むほどに味や愛着が増して、いつもそばに置いておきたくなるもの。日本人の日々の暮らしを支え、何気ない日常を彩ってくれる生活雑貨は華美ではない分、実用的で使いやすく、さらにデザイン性をも兼ね備えた逸品ぞろいです。

大正時代に民藝活動をおこした柳宗悦は「真の美とは日々の暮らしの中で使うものの中にこそある」と言いました。彼の提唱した「用の美」という概念は、簡素でありつつも凛とした佇まいで、使い手にとことん寄り添うかたちや、一切のむだを省いた造形美のなかに、ものの本質が脈々と息づくということを伝えているようです。

また手しごとならではのあたたかみや、時とともに絶妙な経年変化を楽しめることも工芸品ならではの魅力だといえるでしょう。
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